そもそも活性酸素・フリーラジカルとは?
前回の記事では活性酸素が増えすぎることは、ミトコンドリアの機能低下や減少をもたらす、ということについて述べました。
健康やアンチエイジングについて書かれた本のなかでは、たいていの場合、活性酸素とフリーラジカルは同じ意味で使われていますが、厳密には違います。
そのフリーラジカルについて、宇野克明氏は『ミトコンドリア革命』のなかで以下のように説明しています。
〝フリーラジカル〟とは原子核を周回する電子の数に不足が生じ、対をなさなくなってしまった元素を含む物質の総称だ。こうした電子、すなわち〝不対電子〟が常に周囲よりその不足した分の電子を調達しようとする性質を持った反応性の高い不安定物質である。
そのため、フリーラジカルは周囲から電子を強奪し、その時電子を失った周囲の組織は著しく酸化してしまうことになる。
このようなフリーラジカルを含んだ酸化物質の総称を〝活性酸素種(スーパーオキサイド)〟といい、人体を破壊する怖い物質として恐れられている。活性酸素種の個別名称としては〝活性酸素〟〝ヒドロキシルラジカル〟〝過酸化水素〟、そして〝一重項酸素〟が有名だ。
こうした性質、名称を持つフリーラジカルだが、その作用で最も恐ろしいのが細胞核DNAに与える酸化損傷だ。フリーラジカルに与えられた損傷は時に恐ろしい 〝がん〟や酸化に伴って生じる各種疾患の増加、あるいは老化促進の原因すら引きおこす。さらに、こうした減少を放置すれば、その強い酸化反応は連鎖的に 〝電子の強奪〟を繰り返し、更なる状況の悪化さえもたらしてしまうだろう。(宇野克明『ミトコンドリア革命』p61~63)
宇野氏がこのように述べている通り、フリーラジカルは、細胞の老化促進や、がん、さらにはアレルギーなどの原因になるとされています。
つまり、フリーラジカル・活性酸素は万病のもとだと考えられるのです。
したがって、フリーラジカルの働きを抑えることが、アンチエイジングや生活習慣病予防のためには大切になってくるのです。
ちなみにこのフリーラジカルの働きを抑えるには、「抗酸化物質」が有効であると言われています。
たとえば、ビタミンCやビタミンE、アントシアニンやレスベラトロール、アスタキサンチンなどのポリフェノール類には、活性酸素の働きを抑える強い抗酸化作用があります。
また、体内ではSODと呼ばれる酵素が活性酸素の働きを抑えてくれています。
しかし、宇野克明氏は、先程引用した『ミトコンドリア革命』のなかで、フリーラジカル対策には、抗酸化物質を大量に投与する前に、ミトコンドリアの環境改善を行うことが重要だと述べています。