ミトコンドリアの機能を低下させる活性酸素とは?
当ブログでは、腸内フローラ・酵素・ミトコンドリアによって生命力を高める方法について述べていますが、今回はミトコンドリアの機能を低下させる原因である「活性酸素」について述べてみたいと思います。
「活性酸素」はよく、健康な細胞を攻撃して老化を促したり、細胞内の遺伝子を傷つけたりするため、活性酸素が増えすぎると肌のシミが増えたり、病気の原因になったりすると言われています。
そのため、この「活性酸素」について知ることは、免疫力を高めることや、細胞の老化を防ぐための「アンチエイジング」を行ううえで、非常に重要になってきます。
では、この「活性酸素」とは一体何なのでしょうか?
活性酸素とは簡単に言えば、フリーラジカルの一種で、自分を安定させるために他の分子から電子を奪ってしまう不安定な酸素分子のことです。そして、酸素分子によって電子を奪われた分子は、「酸化」されたことになります。
ちなみに活性酸素は適量であれば細胞を保護してくれるため、完全に悪者というわけではありません。しかし量が増えすぎると、かえって細胞にダメージを与え、細胞をサビつかせて老化を促してしまいます。
活性酸素はミトコンドリアが生み出す
この活性酸素の働きについては、よく耳にするかもしれませんが、実は活性酸素を生みだすのは、ミトコンドリアなのです。
日本医科大学教授の太田成男氏は、『体が若くなる技術』のなかで、「活性酸素を生み出してしまう根っこの原因」とは、実はミトコンドリアが人間の体のいたるところで使用するATPというエネルギーを放出する物質を合成する際に、「電気エネルギーを使っているということ」なのだと述べています。
ミトコンドリアでは、「電子」と「食事」を利用してATPという物質を合成します。その際、電子はミトコンドリアを包む膜の上を流れていくのですが、その膜の上は平均台のように細く、ときどき電子がこぼれ落ちてしまうのです。
加えてミトコンドリアには、とてつもない電圧がかかるので、電圧が一瞬でも高くなったときには、どうしても電子がこぼれ落ちてしまいます。電子が同じリズムでゆっくりと歩いていれば、平均台から落ちる頻度は少なくなります。ところが、平均台の上でおとなしく立ち止まっていたときに、急に動けという命令が出されると、慌てて動き出し、平均台から落ちてしまいます。これは、酸欠状態のときに酸素が急に入ってきた状態です。
このこぼれ落ちた電子が、近くにある酸素と結びついてしまったものが、乱暴者の活性酸素なのです。(太田成男『体が若くなる技術』p107)
活性酸素を減らすにはミトコンドリアを増やす
また、「エネルギーを作る際に順当にプロセスが進めば、電子はこぼれないはず」だとしていますが、わたしたちの体はそれほど完璧に作られているわけではないため、電子がどうしてもこぼれ落ちてしまうそうなのです。
さらに、太田氏は「呼吸で取り込んだ酸素の一~二%が活性酸素になっていると言われています。そして、ミトコンドリアの質の低下や、ストレスや早食い、急激な運動の開始や停止などによって過度な負担がかかると、もっと多くの活性酸素ができてしまう」のだと述べています。
その反対に「できるだけ電子がこぼれ落ちないようにすれば、それだけ活性酸素の発生を防ぐことができる」と言います。
また、「電子がこぼれてしまうのは、急激に電子が流れたときと、電圧が高くなりすぎたとき」であるため、「電子の動きを抑えてやればいいということになり」、さらに、「電子は、栄養素(食物)からエネルギーをつくり出すときに動くものなので、エネルギーの生産を少し低下させてでも、電子のスピードを遅くすればいいということに」なるとしています。
ここで述べられている「エネルギー生産を少し犠牲にしても、電子がこぼれないように電圧を下げている状態」のことを、「マイルド・カップリング」というそうです。
さらに太田氏は「そしてこのマイルド・カップリングの状態をつくり出すためには、ミトコンドリアの「量」が必要」なのだと述べています。
ミトコンドリアの量が増えれば、その分、大量のエネルギーが必要になっても、一つのミトコンドリアにかかる負荷は小さくなるのです。
つまり、ミトコンドリアを増やすことが、マイルド・カップリングの状態をつくり出すのです。
一方、活性酸素は増えすぎると、ミトコンドリアの機能を低下させてしまいます。そのため、ミトコンドリアによって生命力を高めるには、ミトコンドリアを増やしていく生活習慣が大切なのです。