生命力を高める生活~腸内フローラ・酵素・ミトコンドリア~

主に腸内フローラ・酵素・ミトコンドリアで生命力を高める方法について書いています。

腸内細菌と免疫力の関係とは?

前回の記事では腸内フローラと免疫力の関係として私たちの腸に備わっている「腸管免疫」のシステムについて簡単に触れましたが、実は腸内細菌も私たちの免疫系や免疫力の向上に深く関与しています。

わたしたちの腸には、およそ1000種類・100兆個以上の腸内細菌が生息していると言われていますが、そもそも腸内細菌は、外部から侵入者であるため、細菌やウイルスと同じように免疫系から攻撃されても不思議ではありません。

ところが、腸内細菌は外部からの侵入者であっても、免疫系によって排除されないのはなぜなのでしょうか?

その理由は、腸内細菌がヒトの体内において有益な働きをしているからに他なりません。

免疫系は「自己と非自己」を区別し、自己に対しては寛容ですが、非自己に対しては、徹底的に攻撃して排除するという特性があると言われています。

特に病原菌に対して免疫系は激しく反応して除去しようとします。しかし腸内細菌に対しては、反応が弱かったり、反対に免疫を抑制したりするといいます。

同じ「非自己」であっても、腸内細菌はヒトにとって利益をもたらす存在であるため、免疫系は高度な判断を行い、相手への働きを変えることで、腸内細菌と手を取り合って共生しているのです。

このことに関して、上野川修一氏は以下のように述べています。

 

 病原菌が侵入してくると、病原菌独特の成分(細胞の表面にある分子や病原菌が放出する毒素)を免疫系が認識し、これを除去するために激しく反応する。ところが、腸内細菌の場合には、免疫系は反応しているのだが、その反応が弱いか、あるいは逆に抑制する方向で働いている。腸内細菌は病原菌のように強く免疫反応を起こす成分をもっておらず、反対に免疫系を抑えるような独特のしくみをもっているのである。

 人間の行動でいえば、相手に対して同じように手を伸ばす行為でありながら、ボクシング選手が相手を殴り倒そうとする際と、親が赤ん坊の頭をやさしくなでる際との違いに喩えることができるだろうか。(上野川修一『からだの中の外界 腸のふしぎ』p173

 

腸内細菌は免疫細胞と対話する

では、腸内細菌はどのように免疫細胞に関わっているのかといえば、腸内細菌が免疫細胞を刺激する仕組みには、「Toll(トル)様受容体」というものが関わっています。

この「Toll(トル)様受容体」とは、突き出すようなかたちで腸管免疫細胞の表面に存在しているタンパク質のことで、このToll様受容体と腸内細菌が結合すると、免疫細胞への刺激が始まると言われています。

このように腸内細菌と免疫細胞はToll様受容体を介して対話を行っているため、腸内細菌のバランスを整えたり、ビフィズス菌などの善玉菌を増やしたりすることで、腸内フローラを改善していくことは、免疫機能を調整することにつながっていくと考えられます。

実際、花粉症やアトピーなどのアレルギー症状は免疫システムの異常(免疫細胞のバランスの乱れ)が原因だとされています。そして、そのアレルギーの緩和にはヨーグルトに含まれている乳酸菌を摂ることや、腸内環境を改善することが有効だと言われます。

そのように言われている理由は、腸内環境が整うことで、腸内細菌によって免疫システムが調整されるからなのだと思われます。

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