ミトコンドリアを増やして生命力を高めるには?
ミトコンドリアの量を増やしてエネルギー代謝を活発にすれば、新陳代謝が良くなるため、生命力を高めるのに効果を発揮します。
では、ミトコンドリアを増やすには、どういった方法をとれば良いのでしょうか?
まず最初に大事になってくるのは、ミトコンドリアはエネルギーが必要だと感じると増えていきますので、身体を動かすことが非常に大切になってきます。
ですが、身体を動かすといっても、息切れするような激しい運動(無酸素運動)ではなく、ウォーキングやゆったりとしたランニングなどの有酸素運動です。
ミトコンドリアは酸素によってエネルギーを生み出そうとするため、ミトコンドリアを増やすために必要なのは、あくまで酸素を摂り入れる運動なのです。
しかし、激しい運動を行うと、今度は活性酸素が増えすぎてミトコンドリアの機能を低下させると言われているため、息切れするほどの激しい運動は禁物です。
ちなみに、ミトコンドリアを増やすためにより効果的な運動は、軽いウォーキングに少し負荷が筋肉にかかるジョギングを組み合わせるような、サーキットトレーニングです。
また、ミトコンドリアはブドウ糖を摂りすぎると働きが鈍るという酵母を使った実験があるため、ミトコンドリアを増やすには糖質制限が有効だとされています。
さらに、日本医科大学の太田成男教授は、『体が若くなる技術 ミトコンドリアを増やして健康になる』のなかで、ミトコンドリアの増やし方として4つのことを挙げています。
ミトコンドリアの増やし方
「マグロトレーニングをする」
「マグロトレーニング」とは、簡単に言えば、ヒラメのような瞬発力のある筋肉(白筋)ではなく、マグロのような持久力のある筋肉(赤筋)を鍛えるということです。
太田氏によれば、ミトコンドリアは、体のなかでたくさんエネルギーを使う場所である「筋肉」に多く存在しているそうなのですが、「白筋」よりも持続力の強い「赤筋」のほうに多く含まれているため、ウォーキングやジョギングといった運動を行うことが大切なのだそうです。
また、最大心拍数が六〇%程度になるように抑えながら行い、時々少し強めの力、筋肉の八〇%くらいの力を出すことも、ミトコンドリアを効率的に増やすのに有効だと言います。
例えば、ウォーキングの合間に軽いジョギングを混ぜるなどして、緩やかな運動の合間に少し強めの運動を織り交ぜると、より一層効果が期待出来ると言います。
「姿勢を保つ」
ミトコンドリアは、筋肉の中でも姿勢を保つための筋肉、背筋と太腿の筋肉に多く含まれていると言います。そのため、背筋のミトコンドリアを増やすためには、背すじを伸ばすことが非常に重要な意味を持ってくるのだそうです。
姿勢を保つために、ヨガや太極拳、日本舞踊などを生活習慣に採り入れることは大切ですが、普段から背すじを伸ばすよう心がけることも、持続的にミトコンドリアを増やすための効果的な方法であり、具体的なやり方の一つであると言います。
さらに姿勢が保たれるように背筋を鍛える運動として、日本舞踊やヨガや太極拳などが効果的だと述べています。
それに加えて太田氏は、「むしろより大切なのは、運動中の姿勢よりも、普段の生活の中での姿勢」だとし、「背すじをピンとのばすように意識する」ことは、「持続的にミトコンドリアを増やすための、もっとも効果的な方法」であり、具体的なやり方のひとつだとしています。
「寒さを感じる」
ミトコンドリアは寒さを好むため、寒さを感じてミトコンドリアにエネルギーが必要だと感じさせることが、ミトコンドリアを増やすための秘訣だと言います。
エネルギーが作られなければ、生命活動が維持できなくなるため、からだはミトコンドリアを増やそうとするのです。そのため、風邪をひかないよう注意しながら、寒中稽古を行なったり、サウナのあとの水風呂に入ったりして、積極的に寒さを感じるようにすることは、ミトコンドリアを増やすのに有効なのだとしています。
「空腹を感じる」
ミトコンドリアを増やすためにはカロリー制限よりも空腹を感じることがより大切になってくるのだと言います。
その理由は、空腹になると、からだはエネルギーがもっと必要だと認識するようになり、ミトコンドリアを増やそうとするからです。
そのため、太田氏は、毎日カロリー制限をしなくても、時々空腹感を味わったり、週末断食などを行なったりすることは、普段の生活でも実行できる有効な方法なのだとしています。
また、食べてから運動するのではなく、積極的におなかを空かせてから運動することで、ミトコンドリアをより増やすことができるそうです。
ところが「空腹を感じる」とはいっても、無理にカロリー制限をすることで痩せすぎることは、必ずしも健康につながるわけではないようです。
内蔵脂肪を溜め込 んだ「メタボ」は深刻な生活習慣病を引き起こしてしまいますが、実はコレステロールの少ない痩せすぎの人も、死亡率が高いそうなのです。
また死亡率は年齢が関係しており、メタボにより糖尿病になる平均年齢は約五〇歳で、やせすぎにより死亡率が高くなるのは男性だと七〇歳から、女性だと七五歳であるといいます。
したがって、太田氏は、六五歳以下では、食べ過ぎて内臓脂肪をため込むのを避け、生活習慣病にかからないようにする必要があるとし、六五歳を過ぎたら、今度は食べ過ぎる必要はありませんが、栄養たっぷりの食事をとって体力をつけることで、やせすぎによる筋肉の衰えを避けたほうが良いと述べています。
また、やせすぎの予防と空腹を感じることは、年齢を意識して毎日の生活に取り入れることで、体の変化にあわせた健康法になるのだと言います。